実機レビュー
8万円のスマートグラス:RayNeo iOレビュー
先に結論を書く。使ってみた私の印象を一言で言うと、RayNeo iO は 1万円安い Even G2 だった。通常価格どうしで比べると、差は約1万円しかない。
初出:note · 本文・写真をnoteから転載しています。

先に結論を書く。使ってみた私の印象を一言で言うと、RayNeo iO は 1万円安い Even G2 だった。通常価格どうしで比べると、差は約1万円しかない。
タイトルの問いに答えるなら、少なくとも私の使い方では、Even G2 超えとまではいかなかった。
もうひとつ、使っているうちに浮かんだ見方がある。RayNeo iO は、Even G2 と AIボイスレコーダーペンダントのあいのこ のようにも見える。もちろん RayNeo がそう打ち出しているわけではなく、あくまで私の見立てだ。スマートグラスとして見るなら、私は Even G2 を勧める。AIペンダントの延長として見るなら、ハードとしての出来はいい。ただ、ソフトはまだ追いついていない。

この記事では、その2つの顔を順番に見ていく。
ひとつ断っておくと、これは Even G2 との対決記事ではない。私は Even G1 から使い続けていて、G2 には120点をつけた。その後、カメラ付きの Rokid Glasses も試している。スマートグラスの体験の基準が Even G2 なので、それを物差しに使う。各節ではまず RayNeo iO そのものを見て、そのうえで「基準の Even G2 と比べるとどうか」を添える書き方にする。
RayNeo iO とは何か
知ってる人は飛ばしてくれ。
RayNeo iO は、RayNeo が出したディスプレイ付きのスマートグラスだ。2026年9月4日に日本で予約が始まった。
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重量:公称約33g
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ディスプレイ:両眼 MicroLED + 回折光導波路、モノクログリーン
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カメラ・スピーカー:非搭載
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マイク:4マイクアレイ + 骨伝導センサー
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操作:Smart Crown(テンプルに付いたリューズ)、音声、頭のジェスチャー
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バッテリー:標準で約48時間、連続翻訳は最大6.2時間
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防塵防滴:IP54
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価格:通常89,999円、発売記念80,000円(RayNeo 公式ストア)
機能はライブ字幕(翻訳)、ライブキュー、ライフログ、ボイスメモ、テレプロンプター。並べると Even G2 とほぼ同じ顔ぶれで、違うのはライフログくらいだ。
ジャンルで言えば、視界に小さな情報窓を浮かべるヘッドアップディスプレイ(HUD)型だ。Even G2 や Rokid Glasses と同じジャンルで、私のカテゴリ分けでは「メガネ型 Apple Watch 系」にあたる。大画面で動画を見るための「メガネ型モニター」とは別物なので、比べるときは注意してほしい。
値段:6万円くらいだったらうれしい
最初に値段の話をする。買う人がいちばん悩むところだと思うからだ。
Even G2 は99,800円。RayNeo iO の通常価格は89,999円で、差は約1万円しかない。発売記念価格の80,000円で比べても、差は約2万円だ。私は発売記念価格に割引コードの10%オフを重ねて、72,000円で買える、前日に買ってしまい80,000円だった。
10万円のスマートグラスを本気で悩んでいる人にとって、1万円の差は決め手になりにくい。私が同じ立場なら、1万円足して Even G2 を選ぶ。
新しいカテゴリの製品は、最初はどうしても値段が高くなる。開発にも製造にもコストがかかっているし、部品も量産もまだこなれていない時期なので、今の値段は仕方ないところもあると思う。値段に文句を言いたいわけでもない。ここから先は、一人のユーザーとしての「こうだったらいいな」という話として読んでほしい。
もし6万円くらいだったら、この製品の立ち位置はがらっと変わると思う。予算6万円の人が「もう少し頑張るか」と思える上限は、せいぜい1.5倍の9万円だろう。9万円では Even G2 の99,800円にギリギリ届かない。つまり6万円なら、「Even G2 には手が届かない、でもディスプレイ付きがほしい」という人の受け皿になれる。Even G2 と並べられても、値段という明確な強みを持てる。

今の値段だと、どうしても Even G2 と並べて比べられやすい。いつかこなれた値段の RayNeo iO が出てきたら、また違う景色が見られると思う。
ちなみに Even G2 には R1 がある。R1 をセットで買うと、通常価格どうしでも差は約3万円に広がる。これは R1 の体験そのものに値段がついていると考えるべきで、後で書く。
本体価格だけでは見えないコストもある。RayNeo iO で ChatGPT などほかの AI モデルを使うには、VIP サブスクリプションが要る。日本の公式ストアでも表記は月額 US$9.99 だ(RayNeo 公式ストア)。無料で使えるのは RayNeo AI と Gemini になる。
Even G2 はこのあたりが割と柔軟だ。自作アプリを作れるし、AIのエンドポイントも差し替えられる。自分で手を動かせる人なら、追加の月額を払わずに好きな AI をつなげられる。
質感:軽さが、逆に軽く見える
RayNeo iO の売りは軽さだ。公称約33gで、Even G2 の公称36gより軽い。素材もフロントがマグネシウム・アルミ合金、テンプルがチタン合金と、数字の上では申し分ない。
なのに、手に取ったときに少し戸惑った。軽すぎて、持った感触に重みがない。その軽さが、どうしても安っぽさのほうに振れて感じられる。完全に私の感覚の話だ。9万円近いものを手に持つと、無意識に「それなりの手応え」を期待してしまうのだと思う。Even G2 を毎日触っている手には、iO の軽さは頼りなく映った。
もっとも、これは箱から出したときの印象の話。かけてしまえば軽さは純粋に長所で、使い始めれば別に気にならない。
細かいところも2つ書いておく。
テンプルはチタンだが、Even G2 のようなマット仕上げではないので、少し指紋がつく。Smart Crown を操作するたびにテンプルに触れるので、気づくと跡が残っている。Rokid Glasses の光沢ブラックほどひどくはない。
フロントは、近くで見ると塗装が少しチープに見えるかもしれない。私が選んだのはゴールド(デューン)なので、色のせいもあると思う。少し離れれば普通のメガネで、見た目が悪いわけではない。ダークグレー(ポーラーナイト)なら印象が変わる可能性はある。
装着感:テンプルの先端はデカい

写真の、耳の後ろに来るふくらみがテンプルの先端だ。光っているのは録音中を示す LED で、これについては後で書く。
テンプルの先端はデカい。マイクとLEDが入っている部分で、普通のメガネと比べるとはっきり太い。
でも、耳が痛くなることはなかった。一日かけていても跡は残らない。ここは顔の大きさ次第だと思う。先端が耳の後ろのどこに当たるかは、人によって変わるからだ。
側圧は Even G2 より弱い気がする。Even G2 は薄いテンプルで締めて固定する設計なので、こめかみに少し圧を感じる。RayNeo iO はそこがゆるい。かけ心地だけで言えば、iO のほうがラクな場面もある。
充電:クリップ式がちょうどいい
充電方式は良い。
Even は G1 から G2 まで、ずっとケース充電だ。ケースそのものにバッテリーが入っていて、メガネをしまえば充電される。それはそれで良さがある。でも、Even G2 は基本的に1日は余裕で持つので、ケースにそこまでのバッテリーはいらない。むしろ、そのせいでケースがかさばるのがつらい。しかもケースがないと充電できない。とはいえ Even G2 は電池が普通に持つので、ケースを家に置いてきたくらいで困ることはない。急に泊まりになっても、2日くらいは大丈夫だ。
RayNeo iO のバッテリーは、ライフログを ON にしたままだと1時間に4%くらい減る。朝9時43分に71%だったのが、夜19時52分には29%になっていた。約10時間で42%減った計算だ。まあ1日は使える。

RayNeo iO は、USB ケーブルの先に付けたクリップ式の充電器をメガネに挟む方式だ。クリップはブリッジ(左右のレンズの間)に挟む。クリップの上に USB-C の口があるので、そこにケーブルを挿せば充電できる。


このクリップ式がデフォルトなのが良い。充電ケースが欲しければ、充電ケース付きのセット(90,000円)を選べる。選ぶかどうかはこちらが決められる。Even にはそもそもその選択肢がない。
クリップは500円玉くらいの大きさで、持ち歩いても邪魔にならない。特に不満はない。

付属のケースも質感が良い。ハードケースだが、かさばるほどではない。充電のためにケースを持ち歩く必要がないぶん、普通のメガネケースの感覚で使える。
Smart Crown:これは評価している
RayNeo iO でいちばん良かったのは、テンプルに付いたリューズ、Smart Crown だ。

回して選ぶ、押して決める。Apple Watch のデジタルクラウンと同じ操作だ。
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ダブルクリックが誤作動しない
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髪を巻き込まない
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見た目にほぼ違和感がない
タッチセンサーには「触ったつもりが反応しない」「触ってないのに反応した」がつきものだ。物理的なリューズにはそれがない。回した分だけ動き、押したときだけ決まる。当たり前のことが当たり前にできるのは、毎日使うデバイスでは大きい。
髪を巻き込まないのは、たぶん私の髪が短いせいもある。Even G1 のタッチセンサーのために、とっくに髪を切っているからだ。スマートグラスオタクは髪を切れ。
見た目も、よく見ればリューズがあるなという程度。デザインの範疇に収まっている。メガネにリューズが付いているのは、むしろちょっと洒落ている。
惜しいのは、結局テンプルに手を伸ばす操作だということ。Rokid の記事で書いた「こめかみまで腕を上げる儀式」は、RayNeo iO でも発生する。私の基準の Even G2 は、R1 を使えばポケットの中の指先で操作できる。その体験に慣れていると、ここだけは物足りない。Smart Crown そのものは、テンプルで操作する方式の中では最良だと思う。

表示:気持ち狭く、少し上にある
表示領域は、普段の Even G2 の感覚からすると気持ち狭い。スペックを並べるとこうなる。

出典:Even G1 は Even 公式、RayNeo iO は RayNeo 公式(視野角・輝度)と MoguLive(解像度)、Even G2 は Even 公式サポート。
大きさの差を図にした。

枠は視野角と解像度から出した見かけの大きさで、3つとも同じ縮尺にしてある。中の文字は、同じ文字サイズで同じ文章を流したときのイメージだ。
数字で見ると、差は思ったより大きい。視野角は4度差だが、縦の解像度は220と350で、iO は Even G2 の6割ほど。画素の総数で比べると約半分になる。
それでも体感は「気持ち狭い」くらいで済んでいる。短い通知やダッシュボードなら、差はほとんど気にならない。差が出るのは、翻訳や会話サポートのように文字が流れ続ける機能だ。縦の解像度は、一度に見える行数にそのまま効く。Even G2 のレビューで「縦が200→350になって、翻訳が1画面に収まる量が圧倒的に増えた」と書いたが、iO の220は G1 の200とほぼ同じだ。
これが翻訳では地味に残念だった。長めの1フレーズが1画面に収まらない。話している途中で文の頭が上に流れていき、最後まで表示されたときには、最初のほうがもう見えない。短い一言なら問題ない。商談や講演のように一文が長くなる場面ほど、文の全体をつかみにくくなる。もっとも、これはデフォルト設定での話だ。後で書くとおり、フォントサイズを下げて行数を増やせば、かなり改善できる。
狭さ以上に効くのは、表示の位置だ。
Even G2 は表示領域がかなり下のほうまで来るので、目線を動かさなくても目の前に情報が出る。RayNeo iO は表示が上寄りで、読むときに少し目を上に動かす必要がある。

通知を読むだけなら、たいした差ではない。ただ、表示が上寄りなぶん、Even G2 より通知を見逃しやすい気がする。視界の真ん中から少し外れたところに出るので、何かに集中していると、来たこと自体に気づかないことがある。
もっと困るのは、相手と話しながら文字を読みたいときだ。ライブキューの回答や、テレプロンプターのカンペがそうだ。相手の顔を見たまま読みたいのに、iO だと目線が上に逃げる。相手からすれば、話の途中で目が泳いだように見える。
Even G2 も焦点距離の設定次第なところはある。とはいえ設定がハマれば、相手の顔と文字をほぼ同時に見られる。会話中に使う機能ほど、この差が効いてくる。
輝度は公称値で見ると、RayNeo iO が最大1,300nit で、Even G2 の1,200nit を少し上回る。数字の上では iO のほうが明るい。
残念なのは、公式のサングラスクリップが売られていないことだ。快晴の屋外で表示を見やすくするには、レンズの外側を暗くするのがいちばん手っ取り早い。Even G2 のときもサングラスクリップには助けられた。
ちなみに、手持ちの Even G2 用のサングラスクリップを付けてみたら、RayNeo iO にジャストフィットした。私はもうこれでいい気がしている。

これから冬なので、しばらくは気にしなくてもいいかもしれない。夏が来る前に、公式から出てくれるとうれしい。
通知:基本は問題なし。履歴がないのが惜しい
通知機能は、基本的に問題ない。LINE やメールが来れば視界にすっと出て、スマホを取り出さずに中身を確認できる。毎日使ういちばん地味で、いちばん大事な機能がちゃんと動いているのは安心できる。
惜しいのは、通知の履歴を見られないことだ。
基準の Even G2 には、通知の一覧を見返す画面がある。iPhone で画面の上からスライドすると出てくる、あの通知センターのようなものだ。さっき来た通知をもう一度見たいときは、そこから開き直せばいい。
RayNeo iO には、それがないっぽい。困るのは、ちょっと長めの通知を読んでいる途中で、うっかり閉じてしまったときだ。もう一度見る方法がなく、「あー」となってスマホを出すことになる。一瞬で消えていく通知だからこそ、あとから見返せる場所がほしい。前の節で書いたとおり、表示が上寄りで見逃しやすいぶん、なおさらだ。
アプリ:設定は細かい。ローカライズは雑
スマホアプリは、ホーム画面から主な機能にすぐたどり着ける作りだ。音声メモ、ダッシュボード、ライブキャプション、通知、Life Log、テレプロンプターがタイルで並んでいて、迷うことはない。

顔を上げると表示が出る
良かったのは、顔を上げるとダッシュボードが出る「Head-Up ディスプレイ」だ。発想は Even G2 の HeadUp そのままだが、反応する角度を0〜70度の範囲で設定できる。自分の姿勢のクセに合わせて感度を調整できるので、悪くない。

ダッシュボードは編集できる。Smart Crown で左右に送れる
ダッシュボードは編集できる。時計と予定のページ、天気とニュースのページのように、何を出すかを自分で組める。複数のページは Smart Crown を回して左右に送れるので、見たい情報にすぐたどり着ける。基準の Even G2 もダッシュボードを編集できるので、ここは同じ土俵に立っている。


画面は予定名と地名をマスクしてある。
惜しいのは、タスク管理だ。ダッシュボードのタスクは、RayNeo のアプリの中で管理する前提になっている。でも、タスクはもう Todoist や Google ToDo リストなど、普段使っているアプリで管理している。スマートグラスのためだけに、別のタスク管理アプリへ乗り換える人はほとんどいないと思う。
この ToDo 連携については、Even G2 にも同じことを思っている。Even G2 のレビューで外部アプリと連携できないのが惜しいと書いたが、タスクまわりの不満はまだ残っている。スマートグラス全体に言いたいことだ。視界に出したい情報は、たいてい自分がもう使っているサービスの中にある。そこと素直につながってくれることが、毎日かけるデバイスとしていちばん大事だと思う。
それにしても、後発の RayNeo iO には、せめてアプリの完成度では先行製品に並んでほしかった。RayNeo はこれまでにもたくさんのグラスを作ってきたメーカーだが、その多くはスマホにつないで大画面を見るメガネ型モニターだ。毎日かけて、視界に小さく情報を出す HUD 型のアプリづくりについては、まだ経験が浅いのかもしれない。次に書くローカライズの粗さを見ていると、そう感じる。
ところどころ中国語が残っている
一方で、ローカライズは雑だ。UI のところどころに中国語が残っている。たとえば翻訳の設定画面には「经典翻译」「内测中」と、中国語のままの表記が並ぶ。

9万円近い製品として日本で売るなら、ここは真面目にやってほしい。機能の出来とは関係ない部分だからこそ、完成度の低さが目についてしまう。
翻訳:精度も速度も Even G2 と大きく変わらない
翻訳の精度は、基準の Even G2 と大きくは変わらない。訳が出てくるまでの速さも、体感では同じくらいだ。英語を日本語にする日常的な使い方なら、どちらを使っても困ることはないと思う。
RayNeo iO の翻訳には表示モードが2つある。訳を逐次書き換えていく「リアルタイムディスプレイ」と、文の切れ目ごとにまとめて出すモードだ。

話者の言語を自動で判別してくれないのは、少し残念だ。相手の言語は、あらかじめ手動で選んでおく必要がある。
困る頻度は高くない。私が言語を切り替えたくなったのは、WWDC で海外に行ったときくらいだ。英語があまり得意でない人同士が、それぞれの母語を混ぜながら話すような特殊な環境だった。普段の生活で「英語を日本語に」以外を使う場面は、ほとんどない。
フォントを小さくすれば、表示量は Even G2 並み
表示の節で「長めの1フレーズが収まらない」と書いたが、これは設定でかなり改善できる。キャプションの表示設定で、フォントサイズ、幅、行数を変えられる。フォントサイズを下げて行数を増やすと、Even G2 と大差ないくらいの量を1画面に出せた。

表示領域そのものの狭さは変わらないが、そこを設定で補えるのは評価できる。翻訳を多用するなら、最初にここを触っておくのがおすすめだ。
バイリンガルモードは面白い。でも動きが不自然
もうひとつ面白かったのが、バイリンガルモードだ。前を向いているときは翻訳文が出て、顔を上に向けると原文が出る。

アイデアとしては面白い。ただ、会話中に原文を確かめたくなるたびに上を向くのは、動きとしてあまりに不自然だ。相手からすれば、話の途中で急に天井を見上げる人になってしまう。
それなら、Even G2 のように画面を上下に分けて、原文と翻訳文を同時に出してくれるほうがうれしい。視線を動かすだけで両方を見比べられるからだ。
ライブキュー:会話サポートとしては、まだおもちゃ
RayNeo iO の会話サポートは、アプリでは「ライブキュー」、メガネ側では「ライブヒント」という名前になっている。会話を聞き続けて、会話の中に出てきた質問への答えを視界に出してくれる機能だ。
正直に言うと、この機能は今のところ使い物にならない。おもちゃの域を出ていない。
理由は3つある。
1つ目は、はっきりした質問しか拾わないこと。「〜って何?」「〜はいつ?」と、質問の形で口に出したときにしか反応しない。会話サポートとして、これは欠陥だと思う。会話の中で質問がはっきり口に出る瞬間は、そう多くない。本当に知りたいのは、誰も質問にしなかったけれど自分だけわかっていないことのほうだ。
2つ目は、答えが浅いこと。拾った質問に対して、簡潔な回答を1つ返すだけで終わる。話題の背景や、次に話がどこへ転がりそうかまでは踏み込まない。
3つ目は、履歴が残らないこと。会話が終わったあとに、何が出ていたかを見返せない。
基準の Even G2 の会話サポート(Conversate)は、ここがまったく違う。
RayNeo iO は、はっきり質問されたら答える。
Even G2 は、私が目の前でスマホを出してググりそうなことを、察して先に調べておいてくれる。
たとえば友人と FF16 の話をしていたとする。誰も「FF16 っていつ出たっけ?」とは聞いていない。それでも Even G2 は、視界の端に FF16 の発売日などの情報を出してくる。質問の形になっていなくても、会話の流れから「この人、たぶん今これが気になっている」を拾って先回りする。終わったあとは、文字起こしと要約も残る。

私が Even G2 のレビューで「知性の拡張」と書いたのは、この先回り、つまりはお節介なことだ。初めて使ったとき、人類の知能が拡張されるというのはこういうことかと、本気で感動した。ライブキューには、その感動がない。
Beta と書いてあるので、これから良くなるのかもしれない。でも、今の作りを見る限り、会話サポートの本質的な価値がどこにあるのかを、まだつかめていないように見える。質問に答えるだけなら、スマホの音声アシスタントでもできる。会話サポートの価値は、聞かれる前に察してくれるところにある。
私は、Even G2 の会話サポートの体験だけでも、2万円を上乗せする価値があると思っている。
表示位置の問題も、ここで効いてくる。ライブキューの回答は、相手と話している最中に読むものだ。iO では回答を読むたびに目線が上に動くので、相手を見ながら自然に読むのが少し難しい。
スマートグラスとしての RayNeo iO は、ここまでだ。Smart Crown と軽さは良い。表示は設定で補えるが、会話サポートは私の基準からするとまだ遠い。
ここからは、もうひとつの顔の話をする。
もうひとつの顔:AIペンダントとして見ると、ハードは良い。ソフトはまだまだお遊び
RayNeo iO にあって Even G2 にない機能は、実質ライフログだけだ。本来なら、この1つが評価をがらっと変えるはずの機能でもある。
ライフログは、一日中マイクで周囲の会話を聞き続け、夜にその日の行動をまとめてくれる機能だ。保存されるのはテキストだけで、音声ファイルは残らない(リアルサウンド)。
これは機能の差というより、思想の差だと思う。Even G2 は「今この瞬間に、視界へ何を出すか」に集中している。RayNeo iO は、それに加えて「その日一日を残す」ほうにも手を伸ばした。
この方向は、これから流行ると思う。9月9日に発表された Apple Watch Series 12 と Ultra 4 にも、周囲の会話を聞いてまとめる「Siri Recap」が載ることになった(TechCrunch、Apple サポート)。提供は2026年後半からのベータで、最初は英語のみだ。常時聞いてくれるデバイスは、スマートグラスに限らずこれから増えていく。RayNeo iO は、そこに早めに乗った。
集音性は、かなりいい
デバイスとして見たときに強いのは、集音性だ。4マイクアレイと骨伝導センサーを積んでいて、前方の相手の声だけを拾うモードと、周囲全体を拾うモードを使い分けられる。対面の会話なら前方だけ、会議室なら全体。この切り替えがあるだけで、録音の質がかなり違う。
ここは Rokid Glasses と比べるとわかりやすい。Rokid Glasses も使ったが、集音性は微妙だった。向いている方向の声を狙って拾う指向性も、あまり高くない。RayNeo iO は、基準の Even G2 と同じくらいには良さそうだ。
Limitless を、メガネ1本で
この顔で比べるべき相手は、AIペンダントだ。代表格は Limitless と Plaud だろう。この2つは、同じAIペンダントでも役割が違う。
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Limitless:一日中録りっぱなしにする「全録型」。ライフログのための道具
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Plaud(NotePin):会議や打ち合わせのときにボタンを押して録る「議事録型」。ライフログ用ではない

出典:ケータイWatch、Tom's Guide、MLQ News、Plaud 公式
並べると、RayNeo iO は1台で両方の型をやろうとしているのがわかる。ライフログで一日を録りつつ、打ち合わせではボイスメモで議事録を取る。Limitless と Plaud を両方持つ代わりに、メガネ1本で済ませる発想だ。
しかも AIペンダントには画面がない。記録したものは、後でスマホで読むしかない。RayNeo iO は、毎日かけるメガネに録音を載せ、その場で視界に文字も出せる。私には、ボイスレコーダーにディスプレイ付きのメガネが付いてきたように感じられた。
ハードだけで見れば、9万円という値段の見え方も変わってくる。AIペンダント単体は2〜3万円だが、iO はそこにスマートグラスが丸ごと付く。問題は、その上で動くソフトだ。
Limitless が Meta に買われたのも象徴的だ。Meta は Ray-Ban Meta を持っている。「一日中聞いてまとめる」機能は、ペンダント単体から、メガネのように毎日身に着けるものへ吸収されていく流れにある。RayNeo iO は、その流れを一足先に形にした製品とも言える。
ライフログのレベル感:正直、今はお遊びレベル
ハードは良い。では、肝心のライフログの中身はどうか。先に結論を書くと、日本語で使う限り、今の精度はお遊びレベルだ。予定の流れはそれなりに追えるが、会話の中身はほとんど残らない。

実際の「毎日のサマリー」はこんな画面だ。業務の内容を含むので、中身はマスクしてある。

カレンダーと連携しているので、一日の予定の流れはざっくり正しい。タイムラインには移動経路も地図で出るので、位置情報もちゃんと記録されている。

問題は、それがまとめの文章にどこまで活きているかだ。ここは正直よくわからない。場所と予定の情報を持っているのに、文章は音声の内容に引っ張られている印象だ。
いちばんの問題は、土台になる文字起こしの精度が極端に低いことだ。日本語の会話なのに、かなり中国語に引っ張られる。朝の何気ない会話を記録したら、元の記録はこうなっていた。

「寒いなあ」だけは合っているが、そのあとはほとんど中国語として書き起こされている。文字起こしの段階でこれだけ崩れると、その上に作られるまとめも大きく劣化する。Teams の Copilot の議事録のほうがまだマシだ。
AIペンダントの Omi のまとめも正直ひどかったが、ここまでではなかったと思う。少なくとも、会話の中で思いついたアイデアを書き残してくれるようなレベルではない。日報を書く材料にも、まだ使えない。
中国語で話す人にとっては、もしかすると問題ないのかもしれない。文字起こしが中国語に寄っているのを見ると、中国語の会話を前提にチューニングされている可能性はある。ただ、日本で売っている以上、日本語で使えないと意味がない。
もっとも、ここはソフトウェアの話だ。音声認識と要約は、モデルが変われば一気に良くなる領域なので、改善の余地は大きい。もう少し良い文字起こしモデルを使うか、AI アシスタントのように好きなモデルを選ばせてほしい。
だからこそ、ここにはもっと本気で力を入れてほしいと思う。ディスプレイ、操作、会話サポートと並べていくと、基準の Even G2 に対して RayNeo iO がはっきり勝てる筋は、今のところライフログくらいしかない。そのいちばんの武器が、日本語ではお遊びレベルにとどまっているのが本当にもったいない。
畳んだら記録しない。それは正しいが、もったいない
気になったのは、メガネを畳んでいる間は記録されないことだ。
外したメガネが勝手に録音を続けたら怖いので、仕様としては妥当だと思う。でも、もう少し考えてもいいはずだ。
メガネは畳んで首元に引っかけておける。シャツの襟にかける、あのスタイルだ。そのときこそ、ペンダントとして記録を続けてほしい。

AIペンダントの一番の問題は存在感だ。首から丸いデバイスを下げていると、どうしても「何それ?」になる。メガネを首元に引っかけているだけなら、周りは「ああ、ファッションかな」で終わる。ペンダントがずっと抱えている課題を、メガネの形なら自然にかわせる。
せっかくメガネ型でライフログをやるなら、かけている間だけでなく、ぶら下げている間も使えるようにしてほしかった。今の RayNeo iO には、そういう柔軟さがない。
カメラはダメで、マイクはいいのか
ここは自分で突っ込んでおく。
Rokid Glasses の記事で、私はカメラ付きスマートグラスを「撮っているのか撮っていないのか、外から判別できない」と批判した。ならば、一日中会話を聞き続けるライフログはどうなのか。構造は同じだ。
RayNeo iO にも、マイクが動いている間はテンプル先端の白いLEDが点く。装着感の節の写真で光っていたのが、この LED だ。ただ、場所が耳の後ろなので、正面で話している相手からはまず見えない(The Ghost Howls も同じ点を指摘している)。しかも、さっき私は「首元にぶら下げている間も記録してほしい」と書いた。存在感が消えるほど、相手は録られていることに気づかなくなる。便利さと気づかれにくさは、ここでは同じものの裏表だ。
それでも、私はカメラとマイクを同じ重さでは見ていない。理由は2つある。
1つは、残るものが違うこと。RayNeo iO のライフログは音声ファイルを保存せず、テキストの要約だけを残す。顔も、場所も、声そのものも残らない。カメラが残す映像とは、流出したときの被害の大きさが違う。
もう1つは、社会がすでにこの方向に慣れ始めていること。オンライン会議の録音と AI 議事録は、もう当たり前になった。Apple Watch も、周囲の会話をまとめる機能を載せると発表した。「聞かれてまとめられる」ことへの抵抗感は、「撮られる」ことよりも速く薄れていくと思う。

もちろん、気にする人がいるのは事実だ。自分が気にしないからといって、社会全体が気にしないわけではない。これは Rokid の記事でも書いた。だから私は、人と話すときに毎回ライフログを回しっぱなしにはしない。仕事の打ち合わせなら一言断る。今はそれくらいの距離感がちょうどいい。
カメラを載せないという判断で、RayNeo iO は社会的な摩擦をひとつ減らした。同時に、ライフログで別の摩擦をひとつ持ち込んでもいる。ここは RayNeo 自身がもう少し工夫していい。たとえば、LED を正面から見える位置にも付ける。それだけでも印象はかなり変わるはずだ。
立ち位置:コンセプトをもう一歩はっきりさせてほしい
ここで一度、製品の立ち位置を整理しておきたい。
Even は「高級メガネ」に寄せている
基準の Even G2 には、高級メガネとしてのブランディングの傾向があると思う。フレームはマグネシウムとチタンで、銀座のメガネ店(JUN GINZA)で試着して買える。スマートグラスというより、「いいメガネに機能が入っている」という売り方だ。10万円という値段も、高いメガネとして見れば一応の納得はしやすい。
RayNeo の中での iO:ジャンルがまったく違う
一方の RayNeo は、スマートグラスをかなり幅広く出しているメーカーだ。ただ、同じ「RayNeo のグラス」でも、ジャンルがまったく違うものが並んでいる。ここを分けておかないと、正しい比較にならない。
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メガネ型モニター:Air シリーズ、GT、GT Max。スマホや PC に USB-C でつなぎ、目の前にフルカラーの大画面を出す。動画やゲーム、作業用のディスプレイで、毎日かけっぱなしにするものではない
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HUD 型:iO。スマホと無線でつながり、視界の端に単色の小さな情報窓を出す。通知、翻訳、会話の記録など、毎日かけて使う前提
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カメラ付き AR:X3 Pro。カメラとチップを積み、単体で動く。フルカラーの情報窓に加えて、撮影や AR アプリまでこなす

価格順に並べると、iO はこのあたりにいる。

RayNeo のラインナップの多くはメガネ型モニターで、その上にカメラ付きの X3 Pro がいる。iO は、その間に置かれた HUD 型だ。価格だけ見ると「GT Max より高く、X3 Pro の半額以下」だが、そもそもジャンルが違うので、GT Max より高いから上位モデル、という関係ではない。
画面付きスマートグラスの中での iO
比べるべきなのは、同じ HUD 型のスマートグラスだ。私が実際に使った3台を、価格と重さで並べるとこうなる。

RayNeo iO と Even G2 は、どちらもカメラもスピーカーも載せない引き算側で、30g台に収まっている。Rokid Glasses は価格帯こそ重なるが、カメラとスピーカーを載せたぶん49gと、はっきり重い。
同じ引き算側の中で見ると、iO は Even G2 より軽くて安い。価格の差は、通常価格の本体どうしなら約1万円。Even G2 に R1 を付けると、差は約3万円に広がる。
廉価と呼ぶには高く、高級と呼ぶには少し安い
そう並べると、iO のコンセプトの曖昧さが見えてくる。
廉価なスマートグラスとして見ると、9万円近い値段は少し手を出しにくい。同じ HUD 型の Rokid Glasses は、先行価格なら8万円で買えた。かといって、Even G2 のように高級メガネとして売るには、すでに先行がある分印象的には微妙に安い。手に持ったときの軽さや、フロントの塗装の見え方も、高級路線とは少し異なって見える。
どちらかに振り切れば、もっと伝わりやすくなると思う。「6万円で買える、毎日かけられるAIグラス」と言い切るのか。「質感まで作り込んだ、高いけど満足できるメガネ」を目指すのか。今の RayNeo iO は、その間で少し迷っているように見える。
誰が買うべきか

スマートグラスに実用レベルを求める人 → Even G2 をおすすめ
表示領域の広さや、会話サポートの完成度まで含めると、私は Even G2 に2万円以上の価値があると感じた。表示の位置、通知の履歴、先回りする Conversate、そして R1。特に会話サポートは、それだけで差額を払う価値があると思っている。毎日の道具として使い倒せる、実用レベルのスマートグラスを求めるなら、Even G2 をおすすめしたい。
まず体験してみたい人 → RayNeo iO でも問題ない
「スマートグラスってどんなものか、まず試してみたい」くらいの気持ちで、実用レベルまでは求めないなら、RayNeo iO でも問題ないと思う。通知や翻訳はひと通りそろっていて、Smart Crown の操作は迷わない。会話サポートには期待しないほうがいいが、視界に情報が浮かぶ体験そのものは、iO でも十分に味わえる。
会話の記録が目的の人 → ハードは候補。ソフトは様子見
Limitless のような全録型や、Plaud のような議事録型のAIペンダントで迷っているなら、RayNeo iO は候補に入れていい。集音性は十分で、表示もその場で出る。首から専用デバイスを下げずに済むのも大きい。
ただし、日本語の文字起こしとまとめの精度は、今はお遊びレベルだ。Omi よりも厳しいと感じた。ハードとしての集音性は良いので、ソフトが追いつくまで待てる人向けだと思っておいたほうがいい。
まとめ
RayNeo iO は悪い製品ではない。カメラもスピーカーも載せず、ディスプレイに絞るという判断は Even G2 と同じで、私が「今は引き算が正解の時代だ」と書いた側に立っている。

RayNeo iO の良いところ:
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Smart Crown の確実な操作感
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軽さと、ゆるめの側圧
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かさばらないクリップ式の充電
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Head-Up の角度や、字幕のフォントサイズ・行数まで調整できる細かい設定
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編集できるダッシュボードを、Smart Crown で左右に送れる
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集音性の高さ(ライフログの土台としてのハード)
惜しいところ:
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表示が少し狭く、位置が上寄り(基準の Even G2 と比べて)
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通知の履歴を見返せない
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会話サポート(ライブキュー)ははっきりした質問しか拾わず、答えも浅い。履歴も残らない
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ライフログの文字起こしが中国語に引っ張られ、まとめの精度も低い
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UI に中国語が残るなど、ローカライズが雑
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タスクが外部の ToDo アプリと連携できない(これは Even G2 も同じ)
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廉価とも高級ともつかない、少し曖昧なコンセプト
通知、表示、操作といったスマートグラスの基本だけを見れば、Even G2 と格段に大きな差があるわけではない。かけ比べて「こっちは別次元だ」と感じる瞬間はなかった。差がつくのは、会話サポートとアプリの完成度だ。RayNeo iO は、まだ過渡期の製品だと思う。実用レベルのスマートグラスを求めるなら Even G2 を、まず体験してみたいなら RayNeo iO でも問題ない。それが私の結論だ。
使い終えてみて、私には RayNeo iO が、実用的なスマートグラスの先駆けである Even G2 と、AIボイスレコーダーペンダントのあいのこに見えた。スマートグラスとして買うなら、私は Even G2 を選ぶ。AIペンダントの延長として見るなら、ハードはよくできている。ソフトが追いつけば、化ける可能性はある。どちらの顔で見るかで、この製品の評価はかなり変わるはずだ。
次のモデルに期待したいのは、この2つの顔をもっと素直につなげることだ。畳んで首元に引っかけている間も、ペンダントとして記録を続ける。それができれば、RayNeo iO は「1万円安い Even G2」という印象を抜け出して、Even G2 にもAIペンダントにもできないことをやる製品になれると思う。
Even G2 と同じ思想の製品が出てきたこと自体は、素直にうれしい。引き算側のプレイヤーが増えれば、競争で両方が良くなる。もし6万円くらいの RayNeo が出てきたら、そのときはまた買うと思う。


RayNeo iO
Even G2